WARD LIFE病棟での生活:空間・時間・集団
病棟での治療は、「空間」「時間」「集団」という3つの視点で組み立てています。
空間:自由に過ごせる場所と、守られた場所
病棟は精神科の開放病棟で、17時までは、出入り口やホールの扉から自由に出入りできます。病棟のルールやマナーも、子どもたちが自分たちで運営する「児童ミーティング」で話し合い、病棟専従のソーシャルワーカーが間に入りながら、子どもと大人の意見をすり合わせて決めていきます。
大人の目が届かない自由な空間(4人部屋の中の、自分たちだけの「秘密基地」のような場所)は、仲間意識を育てます。一方で、衝動的になりやすい、あるいは強い不安や自責感を抱えているお子さんには、落ち着いて過ごせる個室も必要です。個室は、閉じこもるための場所ではありません。外に出ていて留守のことも多く、部屋にいるときも、マンガを読んだりして、くつろいで過ごしています。病棟は、4人部屋と個室のバランスをとりながら、お子さんの状態に合った場所を用意します。
自由には、トラブルが起こる可能性も含まれています。私たちはそれを「失敗」とは考えず、子どもが仲間や大人との関わりを学ぶ機会として受け止め、必要なときはスタッフがしっかり支えます。
時間:学校生活の流れに沿った1年
入院治療は、4月から翌年3月までの学校生活の流れに合わせて組み立てられています。入学式や遠足、スポーツ大会、キャンプ、夏の納涼会、秋のゲーム大会、クリスマス会、お別れ会・卒業式など、季節ごとの活動があります。
入院する子どもの多くは、中学3年生です。長く学校から離れていたお子さんにとって、受験は大きな不安と向き合う時期です。同じ状況の仲間といっしょに準備し、進路を決めて卒業する経験は、大きな支えになります。
入院のゴールは、病気や症状がなくなることだけではありません。学校生活を含めた、同年代の集団に再び参加していけるようになることを目指します。そのため、お子さんの学校の流れやご家庭の事情を把握して、入院や退院の時期を計画します。
集団:仲間の中で育つ
思春期の子どもたちにとって、仲間集団は、心のよりどころになり、発達を促す場です。いじめや孤立の経験から、同年代の中に入ることが怖くなっているお子さんも少なくありません。病棟では、安心できる環境の中で、仲間と過ごす体験をやり直します。
活動には、全員で行う病棟ミーティング、中学生の男子・女子グループ、小学生グループ、農作業、学習グループなどがあります。大人が用意した行事だけでなく、子どもたちが自分で企画して実行する活動も大切にしています。
思春期の子どもは、言葉による面接だけで自分の内面を語ることが難しい場合があります。そのため、仲間との活動や生活そのものを治療として活かすことが、入院治療の大きな特徴です。
院内学級と学習の支え
入院中も学びを続けられるよう、病院内学級に通います。小学生・中学生とも、在籍校との連携のもとで学習を進め、卒業や進学に向けた支援を行います。受験を控えたお子さんは、スタッフが付き添いながら高校見学などにも取り組みます。