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理念・基本概念
子どもの最善の利益:意思決定の基準を「子どもにとって何が最も利益か」に置く考え方である。家族・学校・制度よりも優先されるべき倫理的軸である。
発達:年齢ではなく、認知・情動・対人・身体・生活技能の成長過程として捉える概念である。支援は発達段階に合わせて調整する必要がある。
生活の文脈:症状だけでなく、家庭・学校・地域・文化・経済状況など、生活全体の条件である。見立てと介入は、子どもとその家族の文脈抜きに成立しない。
多職種連携:複数専門職が情報を統合し、共通目標のもとに役割分担して支援する実践である。「仲良くする」ではなく「機能させる」ための仕組みである。
チーム医療:チームとしての意思決定・実行・振り返りが連続する医療の形である。個人技の総和ではなく、連結された仕事である。
共通目標:子どもと家族にとって意味のある到達点である。職種ごとの目標を上書きせず、上位に置いて整合させる。
役割分担:誰が何を主担当として行い、誰が支えるかを明確にすることである。曖昧さは抜け漏れと分断を生む。
責任の所在:判断と実行の責任がどこにあるかである。連携は責任を薄めるのではなく、見える化するためにある。
継続性:支援が切れずにつながる性質である。外来・入院・退院後・学校場面をまたぐ連続性が要となる。
診療プロセス・運用
初診:支援の起点であり、見立て・危機評価・導線設計を同時に行う場である。
インテーク(予診):受理から初期評価までの一連の工程である。情報の整理と優先順位づけが主目的である。
アセスメント:情報を集め、意味づけし、仮説を立てる過程である。検査だけを指す語ではない。
見立て:症状の説明枠組みを、発達と生活の文脈を含めて構成することである。共有できる言葉に翻訳する必要がある。
治療計画:目標・方法・担当・期限・評価方法を明確にした計画である。計画は固定ではなく更新される。
トリアージ:緊急性・重症度・安全性・資源を踏まえて介入順を決める判断である。
治療同盟:子ども・家族と支援者の協働関係である。連携が強くても同盟が弱いと支援は進まない。
語り場:子どもと家族が安全に語れる枠である。情報収集の場であると同時に、支援の開始点である。
モニタリング:状態・リスク・介入の効果を継続して観察し、計画を更新する行為である。
会議・コミュニケーション
カンファレンス:多職種が集まり、情報統合と意思決定を行う会議である。雑談会ではない。
ケース・カンファレンス:特定ケースの目標・方針・役割分担を確定する会議である。
病棟カンファレンス:入院中の状態・安全・治療計画を調整する会議である。
退院前カンファレンス:退院後の生活・学校・地域導線を整備する会議である。
地域連携会議:医療外の支援資源と合意形成する会議である。情報共有の範囲設定が重要である。
アジェンダ:会議で扱う項目と順序である。意思決定が目的である以上、事前に共有されるべきである。
ファシリテーション:会議を「結論まで運ぶ」技術である。発言量の公平さではなく、目的達成が指標である。
議事録:決定事項・担当・期限・次回確認点を残す記録である。記録がなければ連携は再現できない。
申し送り:担当や場面が変わる際に、必要情報を過不足なく伝える行為である。
情報の交通整理:情報の重要度・優先度・共有範囲を整理することを指す。多職種連携の中核である。
情報共有・同意・倫理
同意:情報共有や介入に対して、理解に基づき承諾することである。可能な範囲で子ども本人の意思を尊重する。
説明と同意:内容・目的・利益不利益・代替案を説明し、同意を得る過程である。
アセント:法的同意が難しい年齢でも、子ども本人の「納得・同意の意思」を確認することである。
守秘義務:得た情報を不必要に外部へ出さない義務である。信頼関係の土台である。
共有範囲:誰に、何を、どこまで共有するかの境界である。曖昧さは事故につながる。
危機時の例外:重大な安全リスクがある場合、守秘よりも安全確保が優先されることがある。判断と記録が要となる。
個人情報:個人が特定され得る情報である。管理の基本は「集めすぎない・持ちすぎない・広げすぎない」である。
リスク・安全・危機対応
危機:自傷他害、重度摂食障害、急性精神病状態など、時間軸が短い重大リスクがある状態である。
安全確保:危機を避ける具体策を整えること。家庭・学校・病棟それぞれで設計する。
自傷:死を目的としない行為も含む自己への損傷である。その行為に関する臨床的な意味を丁寧に評価する必要がある。
希死念慮:死にたいという考えである。頻度・強度・計画性・保護因子を評価する。
他害リスク:他者への攻撃・逸脱行為の危険である。環境調整と導線設計が重要である。
トリアージ:危機度に応じて、救急・入院・外来・地域支援を振り分ける判断である。
緊急対応導線:危機時に誰が何をし、どこにつなぐかの手順である。責任境界を明確にする。
保護因子:危機を和らげる要素である。家族機能、支持者、学校の理解などが含まれる。
評価・心理検査・記録
心理検査:認知・発達・パーソナリティまたは人格などを評価する手段である。単独で結論を出すのではなく、臨床情報と統合する。
観察:行動・対人・感情の変化を実場面で捉える評価である。子どもの多面的な観察は多職種からの情報が要となる。
機能評価:症状よりも、生活や学業、人間関係がどの程度保たれているかの評価である。
生活評価:睡眠・食事・活動・ネット使用など生活リズムの評価である。介入の起点になりやすい。
記録:意思決定と連携の再現性を担保する行為である。特に「決定事項・根拠・担当・期限」を残す。
サマリー:経過と要点を短くまとめた文書である。連携先に渡す場合は共有範囲に配慮する。
治療・支援(医療/心理/生活)
薬物療法:症状軽減の手段である。目的・評価指標・副作用モニタリングをチームで共有する必要がある。最新のエビデンス、国内での適応の範囲等も確認するべきである。
心理療法:対話と経験を通じて変化を促す支援である。枠(頻度・目標・守秘)を明確にする。
家族支援:家族の負担と葛藤を扱い、養育環境を整える支援である。責めるためではなく支えるために行う。
ペアレント・トレーニング:養育スキルを学び、子どもの行動と関係性を整える介入である。
SST(社会生活技能訓練):対人場面の技能を練習する支援である。評価と般化(生活場面への移行)が肝要である。
作業療法(OT):活動を通じて生活機能と参加を回復する支援である。学校復帰や生活リズムにも関与する。
環境調整:本人を変える前に、環境を整える介入である。学校の合理的配慮も含む。
認知行動療法:精神療法の一つであり、考え方(認知)と行動の癖を確認し、つらさを維持する悪循環に介入し、行動活性化や曝露、問題解決、行動実験を用い、症状軽減と生活機能の回復を図る。
段階的曝露:不安場面に段階的に触れ、回避を減らす介入である。安全計画と並走する。
学校・地域連携
学校連携:学校場面の情報を得て、支援方針をそろえる実践である。共有範囲と目的の明確化が必須である。
合理的配慮:障害特性により不利が生じないよう、学習・環境・評価を調整する配慮である。
復学支援:学校復帰を「出席」だけでなく、安心・学び・所属の回復として設計する支援である。
不登校(学校不適応):単一原因ではない状態である。本人要因と環境要因を統合して捉える必要がある。
地域資源:医療外の支援(福祉、教育、相談機関、居場所等)である。つなぐだけでなく、役割を整えることが重要である。
アウトリーチ:支援側が生活の場へ近づく支援である。導線と安全を整えた上で行う。
入院・退院・移行
入院適応:外来では安全や回復が確保できない場合に入院を検討する判断である。根拠と目標が必要である。
治療構造(Structure):入院・外来それぞれの枠組み(担当のスタッフ、時間割、ルール、関わり方)である。構造が治療の一部である。
退院支援:退院日で終わらない支援を設計することだ。学校・家庭・地域資源との接続が中心である。
トランジション(移行支援):児童思春期から成人領域へ支援をつなぐ行為である。断絶を作らないことが目標である。
フォローアップ:退院後や方針変更後の確認である。危機再燃と支援継続が焦点である。
品質・学習(チームの成熟)
標準化:最低限の手順と記録を揃え、再現性を高めることである。個別性と対立しない。
振り返り(Review):何がうまくいき、何が滞ったかを検討し、次に反映することである。
教育:個人の知識だけでなく、チームとしての動き方を学ぶことを含む。
スーパービジョン(Supervision):臨床の質と安全を高めるための指導・相談枠である。
バーンアウト(燃え尽き):支援者の枯渇である。連携は負担を均すための装置でもある。