子どものこころ総合診療センターは、子どもと共に歩んでいくことができる専門家の育成と、子どものメンタルヘルスに関する情報発信を目指しています。

抜毛症

トップ > 診療内容 > 抜毛症

抜毛症

抜きたくないのにやめられない抜毛症について、背景にある気持ちと、行動療法を中心とした治療の考え方を、保護者の方に向けてまとめました。

TRICHOTILLOMANIA抜毛症ってどんなもの?

抜きたくないのに、やめられない。自分の髪の毛などを繰り返し抜いてしまう状態です。「しつけの問題」「注意すれば治る」ものではありません。本人も、見た目や、やめられないことに悩んでいます。

10〜13歳ごろに多い思春期の入り口に始まることが多いです
叱ってもやめられない注意されると、かえって増えることもあります
探偵になって調べる抜く場面を知ることが、治療の第一歩です

どんな特徴がありますか

  • 抜く場所:頭の髪の毛がいちばん多く、次いで眉毛です。地肌が見えるほど抜いてしまうこともあります。
  • 決まったやり方がある:抜く場所、時間帯、指の使い方などが決まっていることが多く、本人も周りも、指摘されるまで気づかないことがあります。
  • 見た目への影響:同じところを抜き続けると、毛が生えてこなくなることがあります。ウィッグや帽子で隠したり、人前に出るのを避けたり、水泳や入浴を避けたりします。
  • 抜いた毛を食べる場合:一部では、抜いた毛を食べてしまうことがあります。毛が胃の中に塊としてたまることがあるため、腹痛、嘔吐、便の色の変化、体重の減少などがあれば、早めに受診してください。

恥ずかしさや、「病気だと知らない」ことから、相談が遅れがちです。早めに適切な支援を受ければ、多くの方で症状が軽くなることが知られています。

VIDEO動画で見る

抜毛症について、動画でも解説しています。

BACKGROUND背景にあるもの

  • ストレスや感情への対処:テスト前、注意されたとき、退屈なときなど、不安、緊張、いらだち、退屈といった気持ちを整えようとして、抜いてしまうと考えられています。抜くことでその場は楽になり、それが繰り返しを強めてしまいます。
  • 本人が気づいていない気持ち:自覚のないストレスや、自信のなさ、不安が関係していることがあります。お子さんが自分の気持ちを言葉で説明するのは難しく、理由がはっきりしないことも多いです。
  • ほかの心の不調との重なり:うつ病、不安症などが重なることがあります。強迫症と近い関係にあり、間違われることもあるため、丁寧に区別します。皮膚をむしる、爪を噛むなどの癖を伴うこともあります。

TREATMENT治療の進め方

治療は、行動療法のひとつである「ハビット・リバーサル(習慣を反転させる練習)」が、最も有望とされています。

🕵️

探偵になって調べる

「いつ、どこで、誰といるときに、どの指で抜いているか」を、記録表を使っていっしょに調べます。自分で気づいていない動作に気づくことが、第一歩です。

🔄

習慣を反転させる

抜きたくなったときに、抜く代わりにできる別の動作を、いっしょに考えて練習します。

🛋️

環境を整える

抜くきっかけとなる場面や手がかりを減らすために、環境を工夫します。

抜毛症そのものを治す、決まった薬はありません。うつや不安などが重なっている場合は、その治療もあわせて進めます。

FOR FAMILIES保護者の方へ

  • 抜いているのを見つけても、叱ったり、無理にやめさせたりするのは、逆効果になることがあります。
  • 「治さなきゃ」と本人を追いつめるより、「いっしょに探偵になって、秘密を解き明かそう」という気持ちで、お子さんとともに取り組んでみてください。
  • 見た目を気にして、学校や外出を避けているときは、そのつらさにも寄り添ってください。

外来のご案内 ↗ 診療内容

このページは、宇佐美政英「児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルス」(月刊薬事、2021年)の内容をもとに、保護者・一般の方向けにまとめ直したものです。診断や治療は、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、医師が個別に判断します。