子どものこころ総合診療センターは、子どもと共に歩んでいくことができる専門家の育成と、子どものメンタルヘルスに関する情報発信を目指しています。

認知行動療法

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認知行動療法

考え方と気持ち・行動のつながりに注目して、お子さん自身が対処する力を身につける認知行動療法について、保護者の方に向けてまとめました。

CBT認知行動療法ってどんな治療?

ものの考え方や受け取り方(認知)が、気持ちや行動に影響することに注目し、お子さん自身が問題に対処する力を身につけていく心理療法です。「その人」を変えるのではなく、「考え方」に取り組みます。

こころの運転免許教習所で学び、日常で練習して身につけます
構造化された治療決まった流れで、目標に向けて進めます
子どもに合わせて年齢と状態に合わせて、やり方を工夫します

仕組み:4つのつながり

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出来事

たとえば、教室で友だちに声をかけたのに、返事がなかった。

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自動思考

とっさに浮かぶ考え。「無視された」と思うか、「教室がうるさくて聞こえなかったのかも」と思うかで、その後が変わります。

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気持ち

「無視された」と思えば、落ち込みや自己嫌悪が生まれます。

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行動

「聞こえなかったのかも」と思えば、もう一度声をかけることができるかもしれません。

この4つが、どのように影響し合っているかに気づくことが、認知行動療法の中心的な目標です。

LICENSE「こころの運転免許」のイメージ

認知行動療法は、自動車教習所に似ています。治療の場で、「自分の考え方と気持ちの関係」を学び、気持ちを整える技術を身につけます。いわば、免許をとる段階です。

けれど、教習所を出ただけでは、運転がうまくなったとはいえません。実際の道路を走って経験を積むように、学んだことを、毎日の生活の中で試し、繰り返すことで、少しずつ上手になっていきます。

たとえば、「何をやっても失敗する」「いつも怒られる」といった考えが浮かんだとき、それを「挑戦」に変えていく練習をします。その過程で、自分を受け入れ、自分らしく生きるための新しい見方を見つけていきます。

FLOWどう進めるの?

  • 回数と時間:一般的には、週1回、1回あたり50〜60分、全体で6〜20回を目安にします。病気や症状に合わせて調整します。
  • 全体の流れ:はじめの1〜2回は「導入」、中ごろは「問題に取り組む期間」、最後の1〜2回は「終結」です。
  • 1回の流れ:序盤は、先週の気分の確認と、宿題の振り返り。中盤は、その日のテーマに取り組みます。終盤は、まとめと、次の宿題を決めます。
  • 宿題(ホームワーク):日常で試すことが大切なので、毎回、小さな宿題があります。

決まった流れで進める(構造化されている)ことは、時間が限られていても、治療の目的と方向をお子さんと共有できる、安心につながります。

FOR CHILDREN子どもの認知行動療法

子どもでも、考え・気持ち・行動のつながりを理解する点は同じです。そのうえで、お子さんの年齢や理解に合わせて、言葉や進め方を工夫します。

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不安症

不安を感じる場面に、少しずつ慣れていく「曝露(ばくろ)」という方法を使います。怖い状況に向き合いながら、不安への対処の仕方を身につけます。

🌧️

うつ病

否定的な考え方に気づき、それを変えていく方法を、いっしょに学びます。薬よりも先に考える、大切な治療のひとつです。

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強迫症・トラウマなど

強迫症では、曝露と反応妨害を取り入れた方法を、トラウマの治療では、トラウマに焦点を当てた認知行動療法を行います。

認知行動療法は、うつ病や不安症のほか、強迫症、PTSD、摂食障害など、さまざまな状態に有効だと示されています。また、日常のストレス対処や、人間関係の悩みにも役立ちます。

NOTES知っておいていただきたいこと

  • 「カウンセリング」とは少し違います:認知行動療法は、決まった枠組みで、技術を学び、練習する治療です。話を聞いてもらうだけの面接とは、進め方が違います。
  • 実施できる施設は限られています:専門の技術をもつ人が少なく、時間の面でも、実施が難しいことがあります。児童精神科の診療全体も、予約が取りにくい状況が続いています。
  • 診察の中でも工夫しています:短い時間でも、お子さんの考え方や気持ちの整理を、治療の一部として行っています。

ご希望がある場合は、診察のときにお伝えください。お子さんの状態に合わせて、できる範囲で、いっしょに考えます。

外来のご案内 ↗ 子どもの薬物療法

このページは、宇佐美政英「児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルス」(月刊薬事、2023年)の内容をもとに、保護者・一般の方向けにまとめ直したものです。診断や治療は、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、医師が個別に判断します。