MEDICATION子どもの薬物療法の考え方
お薬は、心理的・社会的な支援を十分に行ったうえで、必要なときに、慎重に検討します。子どもに使える薬は限られており、効果と副作用の両方を、いっしょに考えていきます。
まず、薬以外の支援理解・環境づくり・心理的な支援が先です
使える薬は限られます子どもで確かめられた薬は多くありません
説明と同意が前提利点と注意点を説明して、同意のもとで使います
薬を使う前に
- 評価を先に:薬を始める前に、身体の検査と、精神面の評価(面接や質問票)を行います。
- 薬以外の方法を十分に:多くの子どもでは、心理社会的な支援を十分に行うことが先です。薬が必要な場合も、これらを続けながら使います。
- 説明と同意:子どもへの適応がない薬を使う場合(適応外使用)は、その理由と、わかっている危険性を、ご本人と保護者の方に十分にお伝えします。
TYPES子どもに使うことのある薬
| 種類 | 主な使い道 | 知っておきたいこと |
|---|---|---|
| ADHDの薬 | ADHD(不注意・多動・衝動性) | 子どもに適応のある薬が4種類あります。流通の厳しい管理がある薬もあります。詳しくはADHDのページをご覧ください。 |
| 抗精神病薬 | 自閉スペクトラム症にともなう強いいらだち・興奮、統合失調症など | 子どもに適応のある薬は、ごく限られています。体重の増加などに注意が必要です。 |
| 抗うつ薬 | うつ病、不安症、強迫症など | 子どもでは、効果が確かめられた薬は多くありません。飲み始めや量を変えたときの、気持ちや行動の変化に注意が必要です。詳しくはうつ病のページをご覧ください。 |
| 睡眠薬 | 眠りの問題 | まず生活習慣の見直しを行います。使える薬は限られます。詳しくは睡眠のページをご覧ください。 |
CAUTION薬ごとに、気をつけたいこと
⚖️
抗精神病薬:体重と体の検査
子どもに適応のある薬でも、眠気、体重の増加、食欲の増加などがよくみられます。急な体重増加は、お子さんにも保護者の方にも、負担になります。体重や血液検査(血糖・脂質・肝機能など)を、定期的に確認します。
🧭
抗うつ薬:飲み始めの変化
24歳以下の方では、飲み始めや量を増やしたときに、不安、いらだち、落ち着きのなさ、衝動的な行動が出ることがあります。こうした変化に気づいたら、すぐにご相談ください。
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睡眠薬:慎重に、短期間
子どもでは、眠いのに落ち着かなくなるなど、思わぬ反応が出ることがあります。漫然と長く使わないようにします。
ご家庭でお願いしたいこと
- お薬は、保護者の方が管理してください:特に、乱用につながるおそれのある薬は、必ず保護者の方が保管します。
- 自己判断で、やめたり量を変えたりしない:急にやめると、体調が悪くなる薬もあります。気になることは、まず相談してください。
- 気づいたことを伝える:眠り、食欲、体重、気分、行動の変化を、診察のときにお伝えください。
- ほかの薬やサプリメントも:飲み合わせの問題があるため、使っているものはすべてお知らせください。
FOR FAMILIES保護者の方へ
「なるべく薬は避けたい」と思うのは、自然なことです。そのお気持ちを大切にしながら、お子さんにとって薬が必要かどうか、必要な場合はどの薬を、どのくらいの期間使うのかを、利点と注意点を並べて、いっしょに考えていきます。
薬以外の支援として、認知行動療法など、心理的な治療もあります。
このページは、宇佐美政英「児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルス」(月刊薬事、2020〜2023年)の内容をもとに、保護者・一般の方向けにまとめ直したものです。薬の使い方は、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、医師が個別に判断します。自己判断で薬を変更しないでください。