摂食障害

 摂食障害の一つである神経性無食欲症は食行動異常、体重増加への恐怖、ボディイメージの障害、を主症状とした精神疾患です。子どもの神経性無食欲症は、必要量とくらべてカロリーを制限し、年齢、性別、成長曲線、身体的健康状態に対する優位に低い体重に至る食行動異常が主な症状です。優位に低い体重とは、正常の下限を下回る体重だけでなく、身長が伸びる時期であることも勘案し、期待される最低体重を下回ると定義されています。そして、るい痩が目立つほどの低体重であるにもかかわらず、少しの食事であっても体重増加または肥満になることに対する強い恐怖を訴えることがあり、これらをボディイメージの障害や肥満恐怖と呼びます。また、常に立っていることや、歩き続けるなど体重増加を妨げる維持した過活動も認め、このような行動の背景には、自分は太っていると思うなどの体重・体型の偏った認知や現在の低体重の深刻さの欠如がありますが、それらの葛藤を表出することは少ないです。子どもの多くは摂食制限型で発症するとされています。

 神経性無食欲症の発症年齢は平均して15歳前後となります。女性の有病率は0.5-1.0%であり、その多くは女性です。わが国の神経性無食欲症の予後については、初診後4~10年経過した患者では、47%が全快、10%が部分回復、慢性化36%、そして死亡7%とされています(厚生労働省)。

 神経性無食欲症の鑑別診断もしくは併存疾患としては、大うつ病性障害、不安障害社会恐怖、全般性不安障害、パニック障害、強迫性障害、自閉スペクトラム症、などがあげられます。特に児童思春期においては、うつ状態の子どもが食欲低下をきたしている場合や、回避・制限性食物摂取症を含めた自閉スペクトラム症による食事への固執傾向による偏食も鑑別する必要があります。

 神経性無食欲症の子どもの治療は、個人精神療法、認知行動療法、家族療法などの心理社会的治療といった通常の精神科診療だけでなく、経管栄養や補液などの身体的治療を必要とするなど、医学的な知識、心理学的技量、医師・看護師・栄養士などの他職種と連携のすべてを注ぎ込んだ総力戦となります。その治療は食行動異常により生じた身体危機を脱するためにも、身体治療から始まることが最初の一歩となります。そして、いじめや学業上の躓きなど様々な出来事を体験してきたことを契機に発症した神経性無食欲症を乗り越えていくためにも、食行動異常の背後に潜む子どもたちの停滞した思春期の自立志向的な活動を再活性していくことが主たる治療目的となります。もちろん、生命の危機が押し迫っている場合には精神保健福祉法に基づいた入院治療を積極的に導入していかなくてはならない場合があります。

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