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統合失調症

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統合失調症

児童思春期の統合失調症について、症状、診断の考え方、薬と心理社会的な治療、ご家庭でできることを、保護者の方に向けてまとめました。

SCHIZOPHRENIA統合失調症ってどんなもの?

ないはずの声が聞こえる(幻聴)、根拠のない強い思い込み(妄想)、考えがまとまらない、意欲がわかない。そうした状態が続く病気です。子どもで発病することは、まれです。けれど、思春期から青年期にかけて始まることがあり、早く気づいて治療を始めることが大切です。

子どもでは、まれ13歳未満では、ほとんど見られません
早めの治療が大切治療が遅れるほど、回復に時間がかかります
育て方のせいではないご家族に原因があるわけではありません

どんな様子がありますか

  • 幻聴:誰もいないのに、声が聞こえる。悪口を言われている、命令されている、と感じる。子どもでは、とくに多い症状です。
  • 被害的な考え:「見張られている」「悪口を言われている」「狙われている」と強く思い込み、説明しても、考えが変わりません。
  • 考えのまとまりにくさ:話があちこちに飛ぶ、つじつまが合わない、何を言いたいのかわかりにくい。
  • 行動の変化:ひとりで笑っている、ひとりごとが増える、奇妙に見える行動がある、など。
  • 感情や意欲の乏しさ:表情が減る、話さなくなる、何もする気が起きない、身だしなみを気にしなくなる。「怠けている」ように見えることもあります。

どの症状も、ほかの理由で起こることがあります。「声が聞こえる」と言ったからといって、すぐに統合失調症と決められるわけではありません。

DIAGNOSIS診断は、時間をかけて、慎重に

  • 幻聴だけでは、決めません:一般の子どもでも、一時的に、声のようなものを体験することがあります。強いストレスやつらい体験(虐待など)のあとにも、幻聴が現れることがあります。
  • 症状が続く期間を見ます:診断には、症状がある程度の期間(半年以上など)続いていることが必要です。受診してすぐには、診断がつかないことも多く、経過を見ながら、確かめていきます。
  • ほかの状態との区別:うつ病や双極性障害、自閉スペクトラム症、トラウマに関する症状などでも、似た様子が出ることがあります。体の病気が隠れていないかも、確かめます。
  • 子どもの発達を考えます:子どもは発達の途中なので、大人の基準をそのまま当てはめるのではなく、年齢に応じた学校や対人関係の様子も含めて、判断します。

統合失調症は、発病の前に、「前駆期」と呼ばれる時期があります。成績の低下、人との交流を避ける、眠れない、不安や落ち着かなさが強いなど、はっきりしない変化から始まることがあります。気になる変化があるときは、早めにご相談ください。

TREATMENT治療の進め方

治療の基本は、薬による治療と、心理的・社会的な支援の組み合わせです。どちらか一方だけでは、十分ではありません。

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薬による治療

症状を和らげ、再発を防ぐために、抗精神病薬を使います。症状が落ち着いたあとも、少なくとも1年ほどは、続けることが勧められています。

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心理的・社会的な支援

病気や薬について、わかりやすく説明し、ご本人とご家族が、安心して治療を続けられるように支えます。学校や地域の支援とも、つなげます。

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暮らしの工夫

生活のリズムを整える、刺激の少ない、ゆっくり休める場所をつくる。家でできることも、いっしょに考えます。

薬について、知っておいてほしいこと

  • 自己判断で、やめない:症状が落ち着いたからといって、薬をやめると、再び悪くなることが多いことがわかっています。やめたい気持ちがあるときは、まず、主治医に話してください。
  • 子どもに適応のある薬は、限られます:そのため、成人で使われている薬を使う場合は、効果と副作用について、十分に説明し、ご本人とご家族の同意をいただいたうえで始めます。
  • 体の変化を、定期的に確認します:体重の増加や、血液の検査値の変化などが、起こることがあります。子どもは、体の不調を言葉で伝えるのが苦手なので、定期的な検査と、ご家庭での気づきが大切です。
  • 飲みたくない気持ちも、話せる関係を:薬を飲むのが嫌になることは、よくあります。その気持ちを、遠慮なく話せる関係をつくることを、大切にします。

薬の使い方は、お子さんの状態によって、大きく異なります。くわしくは、子どもの薬物療法のページもご覧ください。

ご家庭・学校・地域でできること

  • ご家庭:生活に、ある程度の規則性をもたせる。刺激の強い声かけや環境を避けて、家の中でも、ゆっくり休める場所をつくる。きょうだいにも、わかる言葉で伝える。ゲームやスマホとの付き合い方も、いっしょに考える。
  • 学校:人数の多い教室で、たくさんの刺激を受けないように、環境の調整を、学校と相談します。
  • 地域:将来を見すえて、デイケアや、社会生活の練習、就労の支援などの利用も、視野に入れます。

入院が必要なとき

幻覚や妄想、強い興奮のために、安全が守れないときなどは、入院して治療することがあります。刺激の少ない環境で、薬を、安全に始めます。入院中の学習は、症状が落ち着いてから、少しずつ進めます。あせって勉強に戻ると、かえって、症状が悪くなることがあるためです。

FOR FAMILIES保護者の方へ

  • 目の前で、わが子の様子が変わっていくことに、大きな不安や、自責の気持ちを抱く方は、少なくありません。育て方が原因で、起こる病気ではありません。
  • 病気の知識を、早い時期に知っておくことが、ご家族の安心につながります。診断がついたら、病気、治療、薬について、まず、保護者の方にもくわしくご説明します。
  • 興奮や、学校に行けない状態への対応も、いっしょに考えます。ご家族だけで、抱え込まないでください。福祉の制度や、地域の支援も、治療に取り入れていきます。
  • 子どもの統合失調症は、まれです。けれど、治療と支援を、早く、長く続けることで、社会に参加できる可能性が広がります。

外来のご案内 ↗ 診療内容

このページは、宇佐美政英「児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルス」第28回(月刊薬事、2022年)の内容をもとに、保護者・一般の方向けにまとめ直したものです。診断や治療は、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、医師が個別に判断します。