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子どもの摂食障害

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子どもの摂食障害(拒食症)

食べない問題の背景にある思春期の気持ちの揺れと、からだの危機への向き合い方、治療と入院の考え方を、保護者の方に向けてまとめました。

EATING DISORDERS子どもの摂食障害(拒食症)ってどんなもの?

「食べない」だけの問題ではありません。体重や体型へのとらわれ、動かずにいられない過活動、そして思春期の気持ちの揺れが、背景にあります。からだの安全を守りながら、心の成長を支えます。

思春期に多い平均して15歳前後で始まるとされます
からだの危機命に関わることもあるため、早めの受診が大切です
治療は総力戦医師・看護師・心理士・栄養士などがチームで支えます

どんな特徴がありますか

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食べる量を減らす

必要なカロリーより少なく食べ、年齢や成長に比べて、明らかに低い体重になります。

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体型のとらえ方のゆがみ

とてもやせていても「太っている」と感じたり、少し食べただけで太る怖さを訴えたりします。

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動かずにいられない

座らず立ち続ける、歩き回る、運動を繰り返すなど、体重が増えるのを避ける動きがみられます。

食べられない子の多くは、自分では「困っている」と思っておらず、病気の深刻さを実感しにくい特徴があります。言葉にできない気持ちを、行動で表している場合も少なくありません。

VIDEO動画で見る

摂食障害(拒食症)について、動画でも解説しています。

BACKGROUNDなぜ起こるのでしょうか

ひとつの原因では説明できません。もともとの性格の傾向(完璧主義、がんばり屋、ネガティブな気持ちになりやすいなど)、思春期のからだと心の変化、ダイエットへの関心、家庭や学校でのストレスなどが、重なって影響します。

思春期は、子ども時代の「何でもできる」という感覚を手放し、等身大の自分を受け入れていく時期です。親に甘えたい気持ちと、自立したい気持ちの間で揺れます。受験の失敗やいじめ、友だち関係などをきっかけに、この揺れに耐えきれなくなったとき、食べることや体重をコントロールすることで、自分を守ろうとするお子さんがいます。

  • お子さんやご家族の「せい」ではありません:しつけや愛情の不足が原因と決めつけることはありません。
  • いい子で、がんばりすぎる子に多い傾向:親の期待に応えようと頑張りすぎて、気持ちを言えずにいることがあります。

DIAGNOSIS診断と、からだの検査

  • 様子と経過を丁寧に聞きます:お子さんは気持ちを言葉にするのが難しいため、保護者や学校からの情報も大切にします。
  • からだの検査は欠かせません:血液検査、心電図などで、脈や血圧、体温の低下、電解質や血糖の異常、脱水、骨や月経への影響などを確かめます。
  • ほかの病気との区別:うつ病や不安、強迫症状、自閉スペクトラム症による偏食や食べにくさなどでも、食事が減ることがあります。発達の経過とあわせて、丁寧に見極めます。
  • 過食や吐くことをともなうタイプもあります:食べすぎてしまう、食べたものを吐くなどの行動があるタイプです。

TREATMENT治療の進め方

治療の第一歩は、食べない状態で生じたからだの危機を脱することです。そのうえで、食べ物の問題の背景にある、思春期の気持ちや自立への揺れに向き合います。

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からだの治療

低栄養や脱水の改善、栄養の補給などを行います。急に栄養を入れると危険なこともあるため、慎重に進めます。

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本人への支援

病気やボディイメージについてわかりやすく伝え、「食べる・食べない」だけでなく、お子さんのやさしさや良い点にも目を向けます。

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ご家族への支援

思春期の気持ちの理解をお伝えし、保護者の方のこれまでの苦労をねぎらいます。ご両親が、ともに治療に参加できるようにします。

摂食障害そのものを治す薬はありません。落ち着きのなさが強いときなどに、少量の薬を補助的に使うことがありますが、効能に含まれていない使い方になることもあるため、目的と注意点を説明したうえで、同意をいただいて使います。

入院治療について

外来だけでは安全を守れないときは、入院治療を行います。からだの危険(脈や血圧の著しい低下、急な体重の減少、血液の電解質の異常など)があるときは、迷わず入院をおすすめします。病棟では、食事や過活動への関わりを、チーム全体で一貫して行い、お子さんの行動や葛藤に直接向き合うことができます。

「食べるくらいなら入院なんてしない」と涙ながらに拒むお子さんもいます。それでも、命を守ることを最優先に、保護者の方と協力して、お子さんを支えます。

入院治療について 病棟の特徴

RECOVERY回復に向けて

回復には時間がかかります。多くの方が回復していきますが、長引く場合もあります。病気を乗り越える中で、お子さんは心身ともに成長していきます。発病前の状態に戻ることだけを目標にするのではなく、病気を経験したことも含めて、自分を受け入れられるように支えていきます。

その過程では、一時的に過食や不安が出てくることもあります。多くは、気持ちを言葉にできるようになる中で、少しずつ落ち着いていきます。

コロナ禍と摂食障害

新型コロナウイルスの流行以降、世界的に、そして当センターでも、摂食障害の相談が増えています。休校や外出の制限で、体を動かす機会や友だちとの関わりが減り、スマホやパソコンを見る時間が増え、生活リズムが乱れました。こうした孤立が、摂食障害の引き金や悪化の要因になった可能性が指摘されています。

FOR FAMILIES保護者の方へ

お子さんを支える一番大切な場所は、ご家庭です。ご自身を責めたり、ひとりで抱え込んだりせず、気になる様子があれば、早めにご相談ください。お母さん・お父さんがそろって治療に関わってくださることが、回復の大きな力になります。

外来のご案内 ↗ 診療内容

このページは、宇佐美政英「児童精神科医が伝えたい子どものメンタルヘルス」(月刊薬事、2020年・2021年)の内容をもとに、保護者・一般の方向けにまとめ直したものです。診断や治療は、お子さん一人ひとりの状態に合わせて、医師が個別に判断します。